富士宮市立病院看護部ブログ
看護部紹介
『認知症の人への接し方と生活の工夫』『笑顔の花咲く食支援』
令和元年5月17日(金)、第104回市民講座が開催されました。
はじめに、認知症看護認定看護師の佐野智子さんから、『認知症の人への接し方と生活の工夫』についてお話しました。加齢に伴う物忘れと認知症の物忘れの違いや認知症予防の危険因子と予防因子等、とても具体的で身近に捉えられる内容でした。そして、認知症の人への接し方では、パーソンドセンターケアとユマニチュードのお話がありました。
オーストラリアのクリスティーンブライデン氏が執筆した「私は私になっていく 痴呆とダンスを」の一文が紹介されました。『あなたが私達にどう接するかが、病気の進行に大きな影響を与える。あなたの接し方よって、私たちは人間らしさを取り戻し、自分たちはまだ必要とされている、価値のある存在なのだと感じることができるのだ。「人間は他人を通して人間になる」というアフリカのスールー族のことわざがあるが、これは真理だと思う。私達に自信を与え、抱きしめ、励まし、生きる意味を与えてほしい。今の私たちがまだできることを認めて尊重し、社会的つながりを保たせてほしい。私たちが以前の私たちになることはとても大変だ。だから、今のままの私達を受け入れて、何とか正常に機能しようと努力していることを理解してほしい。』最後に、認知症を正しく理解することが、「認知症にやさしい社会」につながる第一歩だとメッセージしました。
次に、摂食嚥下障害看護認定看護師の望月智子さんから、『加齢や認知症によって食べることが困難になっても、みんなで・みんなが笑顔の花を咲かせられるように、最後まで「食べる」喜びを得るための食支援』についてお話しました。「口から食べる」ことは、単に栄養を摂取するだけでなく、「食」を楽しみ、それは人生の喜びや生きる意欲につながり、QOL(quality of life)が高まります。摂食嚥下障害のある方への食事介助の方法では、テーブルの髙さや座り方、スプーンの選び方など、デモンストレーションしながら、とてもわかりやすい内容でした。そして、人生の最終段階に食べることを、どのように考え選択するか、倫理的な問いかけもありQOD(quality of death)についても考える機会となりました。