富士宮市立病院看護部ブログ
ナースのつぶやき
プリセプターとしての一年を振り返り、次年度のプリセプターに支援できること
佐野 鮎実
初めてプリセプターを任されたときは嬉しさ半分、不安が半分ありました。今回、プリセプターをやらせていただき、自分の思いを素直に伝えることの大切さを知った二点について述べます。プリセプティに会うまでは自分が教わってきたことや、わかりやすい指導をすれば、きっとうまくいくと思い、気合いを入れて準備をしていました。しかし、プリセプティたちの聞いている態度がどこか上の空であったり、他人任せで責任感がなかったり、指導をしていく中で、私の説明が分かりにくかったのか、相手にうまく伝わっていなかったのか、とても不安で気を遣っていました。指導されるより指導する方が何倍も気力と体力を使うことがわかり、今まで指導してくれた方たちに感謝する機会にもなりました。わたしは後輩と仲良くすることはできていたけれど、指導することに慣れていなかったので、どうすれば思いが伝わるのか試行錯誤していました。
そんな中、プリセプティが先輩に厳しく指導されたとき、ひどく落ち込み、表情がどんどん暗くなっていくのがわかりました。そして私に、「辞めたい。」と言ってきました。それは一番聞きたくなかった言葉でした。私の担当していたプリセプティに、なぜ、看護師になったのかを問うと、「親からの勧めです。」と一言。看護師になりたくてなったのならば、もっと背中を押し、はげましの言葉をかけてあげることができたのかもしれません。私自身も高校の担任の勧めであり、自分の本当の進みたい道ではなかったので、新人の頃は辛いとき、いつでも辞めてやると強気な思いでいたことを思い出しました。毎日、今日で最後だと思いながら仕事をしていくうちに月日が経ち、どんなことも乗り越えることができて、看護師の仕事をしていなければ今頃何をしていたんだろうと思うくらい、この仕事が好きになっていました。看護の楽しさを教えてあげたいけれど、どうすれば伝わるんだろうと悩んでいたとき、主任に相談しました。私自身の話をしたら、「そのまま、その話をしてあげるといいよ。」アドバイスをいただき話してみました。プリセプティは驚いた様子でしたが、「もう少し頑張ってみます。」と言ってくれました。この出来事が、素直になろうと思ったきっかけの一点目です。そして、私はプリセプティの良いところを見つけては褒め、伸ばしていけるような支援をしていきました。今では、なりたい看護師像ができたようで、この仕事に前向きな発言が聞かれるようになり、とても嬉しく感じています。
二点目は、毎月行われているプリセプター会で私が良い報告をしようと、他のプリセプターやプリセプティを敵視してしまうことがありました。自分のプリセプティが可愛いあまりに一番出来てほしい、他のプリセプティたちよりもいろんな技術を体験させてあげたいと、自己中心的な考えになっていました。互いに成長し合わなければならないはずなのに、これではいけないと素直にその気持ちを一緒にやっているプリセプターに話しました。泣きながら思いをぶつけあい、本音で話し合うことができました。
信頼関係を築いていくために、まずは自分自身をさらけ出し、相手に自分を解ってもらうことが大事だとわかりました。言葉にしないと伝わらない、オブラートに包んでも一番響いてほしいことが響かない。私一人ではわからなかったことです。本当に辛い時期もありましたが、たくさんの方に支援していただき、人として成長でき、大事なことに気づかされた一年でした。今後も自分の意志で入職してくる看護師は少なくなってくる時代だと思います。来年度は、新人の気持ちを理解できるような関わりと、初めてプリセプターをする方の力になれる支援を行っていきたいです。